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Saturday, October 05, 2013

日本でだけ報道されないケリー、ヘーゲル両長官の千鳥ヶ淵戦没者墓苑訪問の意義

4日のこの投稿がアクセスを集めている。

画期的な米国務、国防長官揃っての千鳥ヶ淵墓苑訪問の意味は、「米国のアーリントン墓地に相当するのは靖国ではなく千鳥ヶ淵である」という、安倍政権へのメッセージ

ケリー、ヘーゲル長官の揃っての来日を、日米同盟重視のしるしであると大騒ぎしていた政府とメディアが横並びで口をつぐんだのが、二人が来日して最初に訪れた千鳥ヶ淵戦没者墓苑である。行ったことは報道しても、その意義については完全に緘口令がかかっているかのように見える。311のときの「炉心溶融」を思い出すくらいである。

意義について何か語っているとすれば(強調はブログ筆者)、

朝日新聞は4日の記事「日米、同床異夢 米国、中国との衝突を懸念 2プラス2」で「閣僚らの靖国神社参拝をめぐって日本と中国、韓国とが摩擦を繰り返す中、今月17日からの秋の例大祭では安倍政権の閣僚の参拝も取りざたされている。この時期に米国の2閣僚が千鳥ケ淵に足を運んだのは、先の大戦を巡って関係が膠着(こうちゃく)状態にある日中韓に対し、大戦の当事国でもあった立場から和解の重要性を示したとも見て取れる。」と報じている。

時事は「同墓苑は宗教色がなく、A級戦犯が合祀(ごうし)されて閣僚の参拝が中韓両国との対立の種になっている靖国神社と異なる。米閣僚の訪問には、戦没者の追悼をめぐり、冷静な態度を維持するよう日本を含む各国に促すメッセージが込められている可能性もある。」と報じた。

共同は「歴史認識問題も影を落とす。ケリー、ヘーゲル両氏は3日、都内の千鳥ケ淵戦没者墓苑で献花した。外国閣僚による「異例の行動」(外務省幹部)に、中韓両国の反発を招く靖国神社参拝に代わる追悼の形を日本側に示す狙いが込められているとの臆測が流れた。」と伝えている。

しかしAFPの記事によると、ヘーゲルとケリーの千鳥ヶ淵献花について米国高官がメディアに対してその意義を語っているのだ。前回の投稿でのAFP記事の抜粋翻訳より。

米国高官がメディアに伝えたところによると、ケリーとヘーゲルは「アーリントン墓地に日本の防衛大臣たちが献花するのと」同様に、千鳥ヶ淵に敬意を表した。

高官「この墓苑が一番(アーリントンに)近いものだ。第二次世界大戦の戦場で死んだ日本兵、民間人、補助的業務に就いていた人々に敬意を表するもの。これは和解と尊敬の意思表示である。」

これは米政府による「日本でアーリントン墓地に一番近いのは千鳥ヶ淵墓苑であって、靖国ではない」という明確な意思表示である。これらの報道各社はこの米国の見解を聞いているとしたら、どうして「見て取れる」とか「可能性」とか「憶測」とか曖昧な表現しか使えないのか。それも「日中韓に対する和解を促すメッセージ」とか、「喧嘩は両成敗」的な語調を使っている。この訪問の意味は、アーリントンは靖国に相当するものだと主張した安倍氏に対する「アーリントンと靖国を一緒にするな」との明確なメッセージである。

英語による他の報道を見てみる。

AFP-Jijiの記事を使って、日本の英字新聞 Japan Timesは:
Kerry, Hagel visit Chidorigafuchi to diminish Yasukuni
「ケリーとヘーゲルは靖国の位置をおとしめるために千鳥ヶ淵を訪問」

というダイレクトな見出しを付けている。

タイの「バンコク・ポスト」の3日の記事
Kerry at 'Japan's Arlington' in US war shrine nudge
「ケリーの「日本のアーリントン」訪問は、米国による日本の戦争神社についての小言」
で、
US Secretary of State John Kerry laid a wreath at a Tokyo cemetery Thursday, in an apparent American attempt to nudge Japan away from lionising its controversial Yasukuni Shrine.
木曜日、東京の墓地で献花した米国国務長官ケリーの行為は明らかに、物議をかもしている靖国神社を日本がもてはやすのを止めるように促す米国による試みである。
 と言っている。これも内容からしてAFP通信の報道をもとにしているようだ。そう思って見返したら、4日紹介した Japan Today のAFP記事からはこの冒頭の一文が切られていることに気づいた。AFPBB日本語版のサイトの記事からもこの文は切られている。訪問を率直に報道したAFPでさえ日本人の目に触れやすい場所では一番肝心な文を削除するということだろうか。

新華社通信は、
Kerry and Hagel earlier in the day paid their respects at the nationally recognized Chidori ga Fuchi cemetery, with pundits suggesting this was a calculated move aimed at dissuading Japanese politicians from visiting the controversial Yasukuni shrine, which enshrines 14 Class-A convicted war criminals and is an unabashed symbol of Japan's brutal colonial rule in Asia during WWII.
(3日の)朝、ケリーとヘーゲルは国に認められた千鳥ヶ淵墓苑に行った。専門家はこれは14人のA級先般を祀った物議をかもす靖国神社に日本の政治家たちが行くのを断念させるための計算された動きであると示唆している。
と報道。

AFP の記事は香港の英字紙南華早報英語版 South China Morning Post、シンガポールの Straight Times など、アジア全域に報道されている。

韓国の朝鮮日報の英字版 Chosun Ilbo は6日付の記事
Kerry、Hagel Dodge Militarist Shrine in Japan
「ケリーとヘーゲルは日本の軍国神社から身をかわす」という記事で、
U.S. Secretary of State John Kerry and Defense Secretary Chuck Hagel visited the secular Chidorigafuchi National Cemetery in Tokyo but gave the religious Yasukuni Shrine a wide berth.
米国国務長官ケリーと国防長官ヘーゲルは東京で宗教とは関連のない千鳥ヶ淵国立墓苑を訪れ、宗教施設である靖国神社からは距離を置いた。
と言っている。

そんな中今日(6日)、中国新聞や琉球新報に、共同の記事と思われる「首相どうする?靖国参拝 「秋は困難」の見方」が載っていた。そこにはこうある。
安倍晋三首相が今月17日から20日までの靖国神社の秋季例大祭に合わせて参拝するかどうかに注目が集まっている。かねて参拝に意欲を見せる首相だが、実際に踏み切れば、中国や韓国が猛反発し、外交懸案となっている両国との首脳交流の再開が遠のくのは確実。政府、与党内では「秋は困難」との見方が大勢だ。
この報道はやはり他の日本メディアと同様、ケリーとヘーゲルの千鳥ヶ淵墓苑献花によって靖国参拝に対する強いけん制が米国から3日前に示されたことに全く触れず、反対しているのは中韓だけだということにして安倍氏をかばおうとしている。安倍氏が 秋季例大祭とやらで参拝したら中国韓国どころか、安倍氏ら日本政府が大好きな米国との関係までに悪影響が及ぶのだ。安倍や日本の閣僚が、天皇のために戦争で死んだ人たちを神として祀り、日本軍のアジア諸国への侵略や加害を否定する歴史観を持つ神社を参拝してきたことは世界中から「ドイツの指導者がヒットラーの墓に参るのと同じだ」という認識を持たれていることを、日本の人たちはいい加減に知るべきである。それでもやるというのだったら世界中を敵に回す覚悟で、やれるものならやってみろという思いで見ている。@PeacePhilosophy

このブログでの過去の参考投稿
「子どもと教科書ネット」による「第2次安倍晋三内閣の超タカ派の大臣たち」

成澤宗男: 安倍晋三と極右歴史修正主義者は、世界の敵である
(英語、中国語、韓国語に訳され世界中に発信された記事)

外交評論家、天木直人氏のブログより
ケリー、ヘーゲルが千鳥が淵墓苑に顕花した衝撃

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